導入方法

アジャイルマーケティングのチームづくりで大切なこと

この記事の要約

アジャイルマーケティングを実践できているチームは機能横断型で自己組織化されており、サステナブルなペースで安定した価値提供を行うことができる。その実現には組織全体が従来のマネジメントに対する考え方を変える必要がある。

なるべく機能横断型になることを目指す

マーケティングチームを専門分野によるサイロ(縦割り)ではなく機能横断型にすることは、アジャイルマーケティングを導入する上で重要かつ難しい点の1つです。

これは、各マーケターが専門分野を持ってはいけないということではなく、専門分野を持つチームメンバーがボトルネックになることを防ぐことが目的です。

あくまでチームの動きを見える化し、学びを共有し、問題があれば助け合いながら、変化に適応しつつ価値提供を行うための最適な形として、機能横断型のチームを構成することを推奨しています。

ハッキング・マーケティングの著者であるスコット・ブリンカー氏は、アジャイルマーケティングにおけるチームの構成を、スクラムを利用した下記のような形になることが多いと紹介しています。

画像:ハッキング・マーケティング 実験と改善の高速なサイクルがイノベーションを次々と生み出す(スコット・ブリンカー 東方雅美)|翔泳社の本

同書ではプロダクトオーナーの代わりに部署のマネージャーが「マーケティングオーナー」となるだけでなく、そのマーケティングオーナーがスクラムマスターの代わりとなる「プロセスオーナー」を兼務することも可能であると説明されています。

また、マーケティングオーナーおよびプロダクトオーナーがメンバーの上司である場合には、サーバントリーダーシップと呼ばれる奉仕型のリーダーシップのアプローチを取り入れることが推奨されています。

しかし、マーケティングオーナーはチームになるべく働いてくれるようにプレッシャーをかける役割である一方で、スクラムマスターの代わりとなるプロセスオーナーはチームを守る役割を果たす必要があるため、後述のサステナブルなマーケティング運用を目指すためにも、この2つの役割は分ける方が良いでしょう。

自己組織化されるように権限を委譲する

アジャイルマーケティングを導入し、マーケティングチームが素早く継続的な価値提供を行えるようになるためには、チーム全体が結果に責任を持つ文化を醸成するとともに、組織は決裁を行う権限をチームに委譲する必要があります。

トップダウン型でしか意思決定ができなければ、そのプロセスがボトルネックになる可能性が高いだけでなく、チームが自分たちの仕事に責任を持ち、自分たちで考えて行動する文化を育てることが難しくなります。

「自分たちのチームは自分たちが作りあげていく」という経験の第一歩として、Agile Marketing Italiaではチームマニフェストと呼ばれる、絶えずアップデートしていくことを前提としたチーム内の決まり事をつくることを推奨しています。

スクラムやカンバンのようなアジャイルのフレームワークを導入したとしても、チームメンバーが自発的に動こうとせず、マネージャーが作業を割り振っている状況では、アジャイルマーケティングを実践しているとは言えません。

サステナブルなマーケティングの実践を心がける

絶えずストレスを感じながら残業ばかりで、トップの判断で優先順位がコロコロ変わるようなマーケティングチームでは、良いパフォーマンスは期待できません。

顧客への安定した価値提供を行うマーケティングを実践するために、アジャイルマーケティングではマーケティングチームが不要な妨害から守られ、サステナブル(持続可能)なペースで仕事が行える環境をつくることを目標としています。

アジャイルの名の下に「変化への柔軟な対応」を突き進めすぎてしまうと、変化を前向きに受け入れて対応するのではなく、変化に振り回されてしまうだけになってしまいます。

チームメンバーのコンテキストスイッチをなるべく減らしてパフォーマンスを高めつつ、変化への適応を最適なバランスで行うには、チームおよび組織全体で改善を続ける必要があります。