導入方法

アジャイルマーケティングにおけるバックログの作り方

この記事の要約

タスクを考える際にはアウトプットと成果の違いを押さえ、誰にどのような価値を提供するのかを明確にする。カスタマーストーリーをマーケティングバックログ内で優先順位付けし管理する最適な方法は1つではない。

アウトプットではなく成果に集中する

ここでいうアウトプット(Output)とは、Eメールのワークフロー作成や、A/Bテストを行った回数、展示会で交換した名刺の数、ソーシャルメディアでのフォロワー数など「達成すること自体が目的ではないタスク」だと定義します。タスクの対象や行っている理由が不明瞭にもかかわらず、慣習的に行っている作業もアウトプットとします。

アウトプットは無意味ではありませんが、成果(Outcome)を考えることで、忙しい業務の中で気付かない間に「手段が目的になってしまうこと」を防ぐ仕組みづくりができます。

外部環境の変化によってタスクの価値がなくなってしまった場合に、素早く対応できるのがアジャイルマーケティングの強みです。その強みを活かすためには、チームが取り組んでいるタスク自体に(現状も)価値があるのかどうかを顧客の視点で継続的に見直す必要があります。

つまり、アジャイルマーケティングにおいて成果に集中するとは、誰にどのような価値を提供するのか、または誰のどのような問題を解決するためにタスクに取り組んでいるのかを明確にするということです。

成果を見える化するためのカスタマーストーリー

チームが取り組んでいるマーケティング施策を可視化するために、アジャイルマーケティングチームでも「バックログ」を作成します。スクラムのようにプロダクトバックログとスプリントバックログを分けて使うかどうか、といった運用の細かな点は、チームが利用するフレームワークに合わせてチームで決めます。

いずれにせよ「マーケティングバックログ」内のタスクが、提供する価値とその対象が曖昧で優先順位の付けようがないものにならないよう、まずはアウトプットと成果の違いを押さえることが重要です。そして、利害関係者たちが「なぜマーケティングチームがそのタスクを行っているのか」をいつでも確認できる状態をつくることを目指します。

そのために利用できるテクニックとしてカスタマーストーリーをご紹介します。

会話を促すカスタマーストーリーのテンプレート

アジャイルソフトウェア開発では、詳細な仕様書の代わりとして「ユーザーストーリー」というテクニックが使われています。ただ、ユーザーストーリーは製品のベネフィットについてのストーリーになっているため、Agile Marketing Italiaでは「カスタマーストーリー」と呼んでいます。

各カスタマーストーリーは、なるべく他のストーリーと依存関係がないように切り分けます。また、アジャイルマーケティング宣言のもととなったアジャイル開発宣言で「プロセスやツールよりも個人と対話」と言われている通り、このカスタマーストーリーをもとに会話が生まれるよう簡潔にまとめます。

ちなみにアジャイルマーケティング資格コースでご紹介しているカスタマーストーリーのテンプレートはこちらです。

  1. 【顧客】として
  2. 【コンテンツ or 体験】が欲しい
  3. なぜなら【得られる価値 or 必要な理由】だから

カスタマーストーリーを含んだタスクを作成することで、作業を終わらせる度に顧客への価値提供が可能となります。

カスタマーストーリーをマーケティングバックログへ

マーケティングバックログに追加されたカスタマーストーリー(タスク)の優先順位付けは誰が行うべきなのでしょう。また、マーケティングバックログの継続的なメンテナンスはどのように行うのが理想的なのでしょうか。

スクラムをベースにしたチームの場合は、マーケティングオーナーが責任を持つと決めてしまうこともできます。また、カスタマーストーリーだけではマーケティング施策の全体像が見えにくくなるため、チームの担当業務範囲によっては、ユーザー(カスタマー)ストーリーマッピングをマーケティングバックログとして利用することも可能です。

アジャイルマーケティングを導入するにあたって正しいやり方は1つではないため、利用するフレームワークに合わせてチーム全体でプロセスを作り上げていく必要があります。